大腸がん

disease

大腸がんとは

大腸がんに罹る方は年間10万人と言われており、胃がんに次いで3番目に罹る方が増えている病気です。近年、食生活の欧米化により、大腸がん(結腸がん、直腸がん)が増えています。現在、大腸がんに罹る方は年間10万人を超えており、大腸がんで亡くなられる方は男性では肺がん、胃がんに次いで3番目、女性では最も多くなっています。

大腸がんになりやすい人

2019年の統計によれば、年間約15万5000人が新たに大腸がんと診断され、日本で最も多いがんとなりました。この傾向は40歳代から始まり、年齢とともに罹患率が高まります。
主な要因として、欧米化した食事、運動不足、肥満、喫煙、飲酒が挙げられます。また、遺伝的な要因も関与しており、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、大腸がんのリスクが高まることが知られています。

大腸がんの原因

大腸がんは様々な原因で発生しますが、なかでも肉類に含まれる動物性脂肪やアルコールの取り過ぎ、肥満、運動不足が大腸がんの発生と関係があるとされています。そのため大腸がんの予防には、適度な運動のほか緑黄色野菜や食物繊維、乳製品など多くの種類の食品をバランスよく食べることが重要です。

大腸がんの症状

大腸がんの症状は、初期では無症状が一般的ですが、進行するといくつかの典型的な症状が現れることがあります。主な症状には血便、排便習慣の変化(便秘や下痢)、便が細くなる(狭小化)、残便感、貧血、腹痛、嘔吐があります。大腸がんの発生部位によって症状が異なり、下行結腸やS状結腸、直腸がんでは便の通りが悪くなり、それに伴う腹痛や嘔吐が出やすいとされます。一方で盲腸、上行結腸、横行結腸に発生する大腸がんは進行しても腹部症状が目立たないことがあり、貧血や腹部のしこりなどが発見のサインとなることがあります。

大腸がんの検査方法・診断方法

大腸がんは、早期に発見すれば治りやすいがんの一つと言われています。しかし初期には自覚症状がほとんどないため見逃してしまうことも少なくありません。
大腸がんの主な検査は、①便潜血検査、②注腸造影検査、③大腸内視鏡検査の3つが挙げられます。便潜血検査が最も簡便ですが、病気があっても必ずしも異常になるわけではなく、特に早期のがんでは見逃されてしまう事も少なくありません。
最も詳しく調べることができるのは、直接観察することができる 大腸内視鏡検査です。検査と同時にポリープや小さながんを切除することも可能であるため、非常に有用な検査と言えます。
当院では、麻酔を用いた痛みのない内視鏡検査を行っています。

便潜血検査

便潜血検査には化学的方法と免疫学的方法があります。

化学的方法は、昔から使われてきた方法で、赤血球中のヘムのペルオキシダーゼ様作用を検出します。ただし、肉や魚料理、鉄剤、ミオグロビン、緑黄色野菜にも反応し、偽陽性が出ることがあります。

免疫学的方法は、ヒトヘモグロビンに対する抗体を使用し、肉や魚の血液には反応しません。つまり、人間の潜血のみに特異的に反応します。上部消化管からの出血は検出されず、大腸からの出血のみを検出します。現在では主に免疫学的方法が使用されています。

注腸造影検査

注腸造影検査は、バリウムと空気を肛門から注入してX線写真を撮る検査です。がんの正確な位置や大きさ、形、腸の狭さの程度などが分かります。検査の前には、検査食や下剤を服用し、当日には多量の下剤(腸管洗浄液)を飲んで腸管内をきれいにします。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査は、内視鏡を肛門から挿入して、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく調べる検査です。もしポリープなどの異常が見つかれば、その一部または全体の組織を採取して生検を行い、それによって病気の診断がつきます。検査では、病変部の表面の構造を精密に観察するために画像強調観察や拡大観察も行われることがあります。検査の前には、腸管を清潔にするために注腸造影検査と同じく下剤が使用されます。

詳しい無痛内視鏡検査についてはこちら

大腸がんの治療方法・手術方法

大腸がんの治療について

大腸がんの治療は、以前は早期がんでも開腹手術が行われることが一般的でした。しかし最近では、内視鏡を用いてがんをその場で切除する、内視鏡的切除術や、5-10mmの数か所の小さな傷のみでがんを切除する、腹腔鏡下手術が広く行われるようになっています。これらの手術は、患者様の体への負担が非常に少ないため『体にやさしい手術』といえますが、特殊な技術が必要であり、行える施設が限られているのが現状です。
直腸がんの手術では、永久的に人工肛門が必要となる手術がこれまでは主流でしたが、最近では出来る限り肛門を残して排便機能を維持しようという手術が行われるようになってきています。このような手術により今では殆どの直腸がんの方で、人工肛門を作らずに治療することが可能となり、手術前とそう変わらない生活を送れる事が出来るようになって来ています。

治療方法

  • 開腹手術
  • 腹腔鏡下手術
  • 化学療法(抗がん剤治療)
  • 放射線治療
  • 免疫療法

大腸がんの手術の流れ

手術の入院から退院までのスケジュールは医療機関によって異なりますが、当施設では、患者さんは手術の2日前に入院し、血液検査や心電図、X線検査など、手術に必要な検査を受けます。手術前日は下剤を2回に分けて飲み、腸内細菌を抑制する薬と整腸薬も服用します。手術は腸の外側を扱うため、便があっても治療は可能ですが、通常は腸をきれいにした状態で手術に臨みます。手術前日からは絶食となり、スポーツドリンクや水、お茶は飲んでもかまいませんが、夜9時以降は飲み物が禁止されます。

大腸がんに関する担当医からのメッセージ

当院では、患者様が出来るだけ苦痛なく検査、手術を受けていただけるように様々な工夫を行っております。 不安な症状や気になることが少しでもある方は、お気軽にご受診、ご相談していただければと思います。